人の行動はほぼ「ヒューリスティック」

こんにちは、みょうじんです。ヒューリスティックをご存じですか?ヒューリスティックの語源は「探したり、発見するために役立つもの」というギリシャ語です。行動経済学では、「直感的に物事を理解、判断する」という捉え方をします。

人は何かを決めるとき自分の経験や先入観によって直感的に、ある程度の正解に近い答えが頭に浮かんだり、行動したりしますよね。常に頭の中で計算しながら動いている人はいないと思います。特に習慣化されている行動なんて8割、9割が、今までの経験則で無意識に動いていますよね?どうですかね?

例えば、横断歩道を渡るときに信号を見ながら意識して歩く速度や歩幅を計算ながら渡っていますか?ほぼ感覚を覚えているから無意識に速さを調整していますよね?渡っている途中で点滅したら頭で考えるより先に走っていませんか?小走りで渡り切りますよね?これは無意識にヒューリスティックによる思考が働いているからです。

このように考えると、人間のメカニズムって面白いですよね。ただ、ここでみなさんに覚えておいて欲しいのは、ヒューリスティックには欠点があります。何だと思いますか?それはですね、ヒューリスティックは経験則や先入観で直感的に判断するからスピードは早いんですが、精度が低いんですよね。それだけミスをしやすいということです。

先ほど、信号が点滅したから横断歩道を小走りで渡りましたよね?でも、振り返るとまだ点滅してて、「なんだ、走らなくても良かったぁ」なんてありますよね?今回の信号の件は、ミスや失敗というよりは軽く損した気分になったぐらいですが、ビジネスにおいての判断したり、指示を出したりする時は気をつけなければいけません。

このパートでは、人の判断基準にフォーカスしてヒューリスティックはどのように働くのか?人はどのように商品やサービスを選んでいるのか?などを解説します。

やっぱり第一印象が大事!

何事も第一印象が大事って誰しも聞いたことがありますよね?ビジネスでは特にファーストコンタクトがとても大事です。初対面の印象がその後の商談や販売に影響することは多々あります。これってあるヒューリスティックが働いているからなんですよ。そのヒューリスティックは「初頭効果」といいます。

人は、初頭効果の影響で最初の見た目や感じたことによって判断してしまうんです。とはいえ、初対面では、どちらも相手のことをよく知らないですからね。見た目で判断するしかないですよね。実際は本当に難しいものです。だからこそ、初対面のときは服装、髪型、表情、喋り方、話題などに気をつけなければいけません。

そのほかにも、初頭効果を利用すればビジネスがうまくいくことがあります。それは、営業トークやプレゼンです。見た目はもちろんなんですが、話し方、発表にもポイントがあります。例えば、ここに事実が2つあります。1つ目は、今月は売上は上がっているということ。2つ目は、今月は利益は減っているということ。今からこの2つの事実を元に上司に報告します。

「今月は売上が上がりました。ただ、利益は減っています」どうですか?次に、同じ事実のもと違う報告をやってみますね。「今月は利益が減りました。ただ、売上は上がってます」どうでしょうか?どんな印象を受けましたか?

どちらも先に報告した内容に意識が向きませんでしたか?一般的には、人は最初に報告された内容をインプットしやすい傾向にあるそうです。これも初頭効果ですね。そうですね。

ほかにも、ホームページを閲覧した時の第一印象やその操作性なども重要です。例えば、サイトの色が派手で目がチカチカしたり、サイト内で欲しい情報が見つけにくかったりしたらもう2度と見ようとは思いませんよね?

なので、色合いや配置などを配慮したサイトや検索しやすい操作性の高いサイトを作れば問題が解決します。このように初頭効果を利用してファーストコンタクトでクライアントの心をガッチリ掴むやり方はいろいろあります。あなたの状況を一度確認してみてください。

新鮮な情報ほど判断に大きな影響をおよぼす

最初の情報がその後の印象に影響する「初頭効果」に対して最新の情報が意思決定に影響する「親近効果」というものがあります。「親近効果」とは、ひとつの物事に対して、いくつかの複数の情報を伝えると最後に聞いた情報によって人は判断をしてしまうというヒューリスティックです。「初頭効果」と「親近効果」は誰しも経験してることで。。。

記憶の話で例えるとですね。子供の頃の思い出って何十年も前なのに覚えていますよね?でも、大人になってからの思い出ってあまり覚えていなかったりしませんか?とはいえですね。1年前に聞いた世間話と昨日、聞いた話ではどうですか?それは、昨日、仕入れたばかりの話ですよね?同じ記憶の時間軸で変わってくるのはおもしろくないですか?このように仕入れた情報は最も記憶や印象に残りやすいんです。

また、行動経済学には、「ピークエンドの法則」というものもあります。相手を説得したい時によく使われる法則です。ピークエンドの法則は話の流れを表していましてピークとエンドにわかれます。ピークは、あなたがクライアントへ最も伝えたいことを話す部分で盛り上げるという意味です。そして、エンドは、最後の部分を印象的に締めるという意味です。

人って、会話をしている時終始、集中して聞くことはできないですよね。営業や商談になると長時間になるのでなおさらです。そこでピークエンドの法則を使って最も伝えたいところで話を盛り上げてクライアントの注意をひき、そこから最後を印象的に締めるようにすればあなたが伝えたい情報は伝わりやすくなります。

今までの話をまとめるとクライアントに何らかの判断を求めるときは「親近効果」や「ピークエンドの法則」を意識して重要なことは最後にしましょう。ただし、行動経済学の知識だけではいけません。あなた自身がトークスキルや接客スキルを磨くことも大切です。

流行はなぜ起きる?

今年はどんなものが流行っているのでしょうか?流行ってどのようにして起きるかご存じですか?それを今からお伝えしますね。行動経済学では、この流行が起きるのは「ハーディング効果」と「バンドワゴン効果」が主な要因とされています。

「ハーディング効果」は、群集心理の一種でみんながやっているから自分もやって大丈夫という思考が行動に結びつくことを表してます。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」って、聞いたことありますよね?まさにこのことです。

人は自分が少数派だと不安になる習性がありますよね。特に私たち日本人は空気を読む種族ですから外国の方と比べるとその傾向は強いと言われています。「みんなが利用しているサービスです」とか「SNSで今、バズっている商品です」と言われると利用したり、購入しがちですよね。なので、日本人は流行に敏感な種族とも言えますね!

さて、次に「バンドワゴン効果」ですが、これは簡単にいうと人が集まっているとつられてしまうことです。街を歩いてると人が集まっていたり、行列ができてると気になりますよね?「みんな見てるから行ってみよう!」とか「みんなが並んでいるから並んでみよう!」とか経験はありませんか?

僕は人が集まっているとついつい興味が湧いてそこへ行ってしまいます。行った結果、他愛もないことだったりするんですけどね。しかし、バンドワゴン効果を利用して、集客することは理にかなっていると言えるでしょう。店舗のオープン初日にサクラと使って開店前に何人か並んでもらうと知らない間に行列ができるという手段は一般的ですよね。このようにビジネスに活かすことができます。

そして、このバンドワゴン効果の達人と言われているのが「みうら じゅん」です。少し昔ですがゆるキャラやマイブームなどの仕掛け人ですね。彼の「ない仕事の作り方」という本はブームを起こすためのテクニックなどが記されていて参考になるので、ぜひ読んでみてください。「ハーディング効果」や「バンドワゴン効果」は集客において基礎的な部分です。学んでおいて損はないでしょう。

課金ゲームの沼

あなたはスマホでソーシャルゲームをしたことありますか?そして、ゲーム内で課金したことありますか?また、課金したゲームがやめられないってことになってませんか?このようにゲームに課金するという行動や課金したから途中で止めることができないという心理や行動も行動経済学の理論で説明がつきます。

今回、紹介するのは、

・保有効果

・サンクコスト

の2つです。

まず「保有効果」ですが、簡単に言えば「自分が持っているものがナンバーワン」ということです。自分の所持しているものって愛着が湧きますよね?例えば、自分がゲーム内で育てたキャラも同様だと思います。そのキャラをさらに強くするためにアイテムに課金するのがスタンダードな課金をしてしまうタイプです。レアアイテムや限定キャラなどが出てくるとついつい欲しくなって課金して、毎月なん万円もつぎ込む人もいるようです。

そして、次に「サンクコスト」ですが、サンクは「沈んだ」という意味です。例えば、あなたはゲームを辞めようと決意しました!しかし、課金をしたために「今までかけたコストを考えると無駄になってしまう」という心理が働いて、結局、やめられません。まさに「沼に沈む」ですね。

ただ、冷静に考えてみてください。実際は、やめても続けてもかけたコストは戻ってこないですよね?続けた方がより課金してしまう可能性もありますよね。この状況は「サンクコスト」に加え「保有効果」もさらに加わっている状況です。イメージできましたか?

それでは、これを仕掛ける側だとどのような行動をしたら良いのでしょうか?例えば、占いアプリの仕組みはどうでしょうか?最初の冒頭部分は無料で見れますが全体を知るためには課金しないと見れない仕組みになっています。そして、占いのカテゴリーも細かく分けています。結果、アプリの利用者は総合運、恋愛運、二人の相性と・・・深みにはまっていくわけですね。自分のビジネスに置き換えて考えてみてください。

なぜ宝くじを買ってしまうの?

以前、ユーチューバーのヒカキンが年末ジャンボで企画してたのご存じでしょうか?ヒカキンが高額当選を狙ってなんと約100万円分枚数にして3,334枚を購入してチャレンジしました。知ってる方もいらっしゃると思いますがその結果は、高額当選は1本も当たらず当選額は29万9200円、約70万円の損失・・・惨敗ですね。

ちなみにあなたは年末ジャンボ宝くじの当選確率って知っていますか?おそらく、当たる確率をきちんと認識している人は少ないかも知れません。実際、僕も今回の講座のために調べて知りました。その年によって変化があるかもしれませんが1等7億円は22本、2等1千万円は88本、3等100万円は880本。1等から3等の合計が990本あります。この本数を聞いてどうですか?意外と多いと感じた方もいらっしゃると思います。

これは行動経済学で「比率バイアス」というヒューリスティックが効いてるからなんです。「比率バイアス」とは、確率が不利な大きい数値をa、確率が有利な小さい数値よりも高確率だと誤って判断することです。実際に当たる確率を調べてみると1等から3等が当たる確率は、なんと0.0002%なんです。競争倍率でいえば2,000倍ですね。この数字を聞くとどうでしょうか?今度から宝くじを買うときに考えてしまいますよね。

では、何となく宝くじは当たらないとわかっているのに買ってしまうのはなぜでしょうか?それはですね。誰かが当選しているからなんです。これを「確実性バイアス」と言って誰かは必ず当たるんだからいつか自分もと思ってしまうんですね。

この「比率バイアス」と「確実性バイアス」を利用したのが総額キャンペーンです。例えば「総額1億円が当たる」とか「100名さま全額返金」などですね。確率が低いのはわかっているのに、大きい数字に惑わされてつい参加してしまうパターンです。このように数字の見せ方一つでヒューリスティックをうまく使用して集客する方法もあります。

人は選ぶものが多いと混乱する

人は目の前に選択肢が多すぎると混乱します。これはおそらく経験をしたことがありますよね?例えば、旅行先でホテルなどに宿泊した時に朝食がブッフェ形式で朝から飲むドリンクを迷われたりパンコーナーにあるジャムでも同様にどれにしようか悩んだことありませんか?

これを行動経済学で「選択のパラドックス」と言います。人は選択をするとき労力を使います。あまりに選択肢が多いと決めるのに疲れて満足度が落ちるとも言われています。これを避けるために有名な話であのApple社のスティーブ・ジョブズは服装を選ぶことが無駄な労力と思いいつも同じ服で過ごしていたようです。

要するにビジネスにおいてクライアントに選択肢を用意するのは良いですが、あまりにも多くの選択肢を与えると離れていきます。昔から松竹梅の3種類のコースがあったりしますがこれはきちんと理にかなっているといえます。

また、何かを選ぶ時に「優柔不断な人」っていますよね?実は、優柔不断な人って「0%のリスクなし」か「100%正しい答え」を選びがちなんです。でも、「100%の正しい答え」なんてなかなかありませんよね?必ずどこかで妥協する部分は出てくるもんです。

しかも、「100%の正しい答え」はないと気づいていてももう少しより良い答えはないかを探すんです。だからこそ、結果選びきれなくて優柔不断になるんです。これを行動経済学では「確実性効果」が働いているといいます。

現代社会では、情報が飽和状態。わからなければ、すぐにググれて大量の答えが検索できるようになりました。なので、さらに「良い答え」を探し求める優柔不断な人は増加していると言われています。僕たちができることはクライアントへの情報や選択肢は極力少なく質の高いものを用意する必要があります。

先より今が大事?

さて、あなたは小学生時代の夏休みの宿題は先にやるタイプでしたか?それとも終わりがけに集中してやるタイプでしたか?人によって違うと思いますが、どちらかというと、後でまとめて一気に取り組んだ人の方が多いと思います。どうしても夏休みを楽しむこと。今、この瞬間を優先してしまいます。これを行動経済学では「双極割引」と言います。

そのほかにも例えばローンを組んでマンションを購入することにしましょう。そこでマンションの販売業者から2つの支払い方法を提示されます。ちょっとメモって見て考えてください。まず、条件としては、支払期間はどちらも30年ボーナス払いはナシ支払総額はどちらの方法でも同額であるとします。そして、あなたの月給は現在25万円だとしましょう。ここまではいいですか?メモを取れなかった人は巻き戻して見返してくださいね。それでは続けます。

そして、2つの支払い方法の1つ目は、10年間は毎月6万円を支払い、11年目以降は12万円を支払う方法です。次に2つ目は、最初から毎月10万円を30年間支払う方法です。この場合、金利のことは考えないとしてどちらが魅力的な返済方法だと感じましたか?おそらく、大体の人が1つ目が魅力的だと感じたのではないでしょうか?それは、「双極割引」つまり、人は目先のことを過大評価してしまい、遠い先のことは過小評価してしまう心理を持っているからです。

楽しいことや手に入れたいものなど利益が目の前にある場合は、目先の利益を大きく感じますし、また、嫌なことや避けたいことも目の前の損失を大きく感じます。この双極割引をうまく利用しているのがよく通販などで見かける「お試しキット無料でプレゼント」です。これは双極割引の目の前の利益をちらつかせてまずは自社の商品やサービスを知ってもらうために仕掛けているんです。双極効果は心理的に有効活用できる理論ですので色々と考えてみましょう。

日常で使えるテクニック

さて、今まで色々とヒューリスティックに関する理論をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?何かあなたのビジネスのヒントとなったものはあったでしょうか?ヒューリスティックは、曖昧に考えることやざっくりと捉えることなのでこれこそ「人間らしさ」という人もいます。そのほとんどの行動は無意識におこなわれています。

ヒューリスティックと行動経済学の仕組みを使えば、相手に好印象を植え付ける、相手の行動に影響を与えることも容易ではないのです。これは、今まで学んだことに加え「単純接触効果」という理論も活用します。

「単純接触効果」とは、何度も触れたり、見たものに親近感を抱くことです。今からイメージしてくださいね。あなたには商品やサービスを買ってもらいたい相手がいます。その人は、何度か来店している見込み客としましょう。まずは、初頭効果と単純接触効果を使い、挨拶を交わしたり、ちょっとした雑談などして接触機会を増やします。

その雑談は、相手の興味があることを話しながら「ピークエンドの法則」を使って、自分の伝えたい商品やサービスの話を含めながら話を盛り上げて締めに印象を残すようにします。「選択のパラドックス」を利用して相手がストレスを感じないように用意して、そして、相手が興味を持ち始めたら「この商品はみんな買ってくれています。Aさんも使ってくれてますよ」など「ハーディング効果」で購買意欲を刺激します。

最後に、「双極割引」を活用してまずはサンプルから始めませんかと進めて、その後、商品を購入してもらえるようにきちんとフォローします。いかがですか?イメージできましたか?

この流れはこのような営業の現場以外でもプレゼンやコンペなどにも活用できます。ぜひ、この理論の流れをさまざまなケースに当てはめてみてください。ただし、机上論にならないように気をつけてくださいね。

小テスト

ではここで抜き打ち小テストです。ここまでのパートをしっかり学習していれば簡単なものばかりなので、ぜひ学習の定着度合いをはかるためにも、チャレンジしてみてくださいね。

問題1

下記の4つの中で誤っているものを一つ答えなさい。

①何となく宝くじは当たらないとわかっているのに買ってしまうのは誰かが当選しているからで、これを「確実性バイアス」という。

②「双極割引」とは、人は目先のことを過大評価してしまい、遠い先のことは過小評価してしまう事である。

③「初頭効果」というヒューリスティックによって、初対面の印象がその後の商談や販売に影響されやすくなる。

④「親近効果」というヒューリスティックによって、ひとつの物事に対して、いくつかの複数の情報を伝えると最初に聞いた情報によって人は判断をしてしまいやすくなる。

答え

④ 最後に聞いた情報に影響を受ける

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