人の行動を利用して仕掛ける「ナッジ理論」

こんにちは、みょうじんです。このレクチャーでは、「実はマネジメントにも使える行動経済学」で少し触れたナッジにフォーカスして実際に商品やサービスに活用できる方法をご紹介します。

マネジメントのところでお伝えしましたが、ナッジとは「ちょっとヒジで押す」「後押しする」という意味です。これからナッジの活用について紹介しますが、その前にまずは意識をしておいてほしいことがあります。

それは、物事を考える上での視点です。ここからあなたには2つの視点を持っていただきます。1つ目の視点は「クライアントやユーザー側の視点」です。よく言われる「顧客目線」ですね。クライアントやユーザーが嬉しく思うことは何か?満足することは何か?を考える視点です。

そして、2つ目は商品やサービスを提供する僕たちの視点です。「売り手の視点」ですね。僕たちがクライアントやユーザーに何を買ってほしいのか?どのように動いてほしいのかを考える視点です。

この2つの視点を行き来して今後、お伝えする内容を学習していきましょう。ただ、前提として実は、クライアントやユーザー側の視点と売り手側の視点は一致しないと思っておいてください。

稀に一致する場合がありますが、ほとんどのケースでは一致することはありません。経験したことがあるかもしれませんが売り手側の考えで「これは良いだろう!」と思って売り出した商品やサービスが売れないことはよくあります。

これは、2つの視点を持ち合わせてなく「売り手側の視点」でしか判断をできていないからです。あなたが商品やサービスのアイデアや企画を考えるときは、まずは、クライアントやユーザー側の視点、そして、売り手側の視点で商品やサービスを利用する目的をそれぞれ書き出してみましょう。

そして、その目的を満たすにはどうすれば良いかも書き出します。書き出したら、それらを見比べて2つとも満たす方法や解決策を見つけられればナッジを活用した商品やサービスを販売するヒントに繋がります。まずは、ご自身の商品で実践してみてください。

人の行動を仕掛けで変えるのか?

人の行動は仕掛けひとつで変えることができます。うまくナッジを活用すればあなたがこうして欲しいなぁという方向へさりげなく誘導することもできるようになります。

ナッジ理論は私たちの日々の生活に溶け込んでいます。例えば、コンビニや居酒屋などのトイレで「いつもキレイに使っていただきありがとうございます」という張り紙をみたことはありませんか?パッと目に入ったとき汚しちゃいけないと気にしたことはありませんか?これがナッジ理論を活用した施策の一つです。

もし、この張り紙の内容が「トイレ!汚すな!」と書かれてあると人は命令されていると感じ、従わなくなります。同様なケースで小学校などの廊下にある張り紙で世代にもよると思いますが昔は「廊下は走らない!」「廊下は走るな!」と貼られていたと思います。しかし、今は「廊下は歩きましょう」に変わっています。

これは「ナッジ理論」と「ハーディング効果」の合わせ技で、「みんなが廊下を歩いているから歩かなきゃ」と無意識に判断をしているんですね。ナッジ理論を活用して人を誘導するイメージがついてきましたでしょうか?

ナッジ理論を活用するときに気をつけるポイントは強制的に誘導するのではなくて、あくまでクライアントやユーザーが自分で動くということです。私たちはそっと背中を押す感じですね。その活用方法やパターンは多くありますが、すぐにできることとして言葉やイラストによってナッジ理論を仕掛けることをおすすめします。

まずは、現時点のホームページやSNS、チラシなどのツールを見直してみてください。また、営業トークやプレゼンにも活用できますから併せて見直しすることをおすすめします。

選択肢を作るときは初期設定の方法

いきなりですが、イメージしてください。あなたはラーメン屋さんにいきます。そのラーメン屋さんは席に着く前に券売機で商品を購入するタイプです。さて、どの商品を選びますか?

これといって食べたいものがないときトップ画面にあるおすすめや季節限定メニューを頼んでいませんか?これもナッジ理論の「デフォルト」によって誘導されています。ご存じでしたか?デフォルトとは、「初期設定」のことです。初期の段階であらかじめ目立つところに設定しておいて誘導する仕掛けです。

この仕掛けは本当によく見かけます。例えば、通販サイトなどの会員登録するときに初期設定の段階で「メールマガジンを受け取る」にチェックが入っているのをみたことはありませんか?これはまさに、デフォルトを活用したメールマガジンの読者を増やすための仕掛けですね。

ちなみに初期設定の段階で「同意する」チェックが入っている場合は「オプト・アウト」「同意しない」にチェックが入っている場合を「オプト・イン」といいます。この設定は国によっても異なります。

有名な例え話では、健康保険証にある「臓器提供への意思表示」です。日本では、「同意しない」にチェックが入っている「オプト・イン形式」を取り入れています。その同意の割合は約13%程度です。しかしですね。「オプト・アウト形式」を取り入れてるフランスやオーストリアはの同意率はほぼ100%近くに達しています。

この現象から言えることは、デフォルトを活かした初期設定のデフォルト効果は凄いということです。デフォルトを使ってあなたが望む選択を促してみましょう。

後光を使ってブランド力強化

「後光が差す」という言葉はご存じですか?人は、人やものを判断するとき目立つ特徴があればそれだけを見て全体の印象だと勘違いする傾向があるんです。

例えば、「一部上場企業の社員だからしっかり対応してくれるだろう」「金賞取っているから、このお菓子は美味しいだろう」ってありませんか?結果、的外れだったなんてこと経験してませんか?経験していなければ良かったです。また経験していても良かったです。実際に体験するのが一番ですからね。

さて、今、お話した「後光」によって勘違いしてしまう効果を行動経済学では「ハロー効果」といいます。ハローとは、まさに、聖人像の後ろから差す後光のことを意味します。権威のある肩書きや高い評判などがまるで後光が差したかのようにまぶしくひかり、全体的に素晴らしいという印象を与えるんです。

最近ですと、日本政府がテレビやYouTubeなどで放映しているCMをご覧になりましたか?数年前からマイナンバーやコロナのワクチン接種、ステイホームの呼びかけと色々と公開されてますが、そこに起用されているのは政治家ではなく、好感度の高い芸能人を起用していましたよね?

また、直近では、成人の年齢が18歳に変更するCMは対象の年齢層に大人気のアニメキャラと有名なフレーズを起用しています。これがハロー効果を活用した施策ですね。

そのほかにも、お菓子などのある「モンドセレクション金賞受賞」や本の帯で推薦者として著名人を起用しているのも同じですね。SNSであればインフルエンサーに依頼して宣伝してもらうというのも当てはまります。

ハロー効果は大なり小なりあります。もしあなたのビジネスで使うのであれば「担当件数〇〇件突破」「依頼満足度◯%」などをホームページやSNSのプロフィールなどに入れるなどはすぐに活用できる対策ですね。ぜひ、試してみてください。

失う恐怖に仕掛ける企画術

人は「今、持っているものを失う」ことに非常に敏感です。これを「損失回避性」といいます。損失回避性については「高い、安いは気持ち次第?」で少し触れましたが、きちんとノートを取られていますでしょうか?

1万円をもらったときの喜びと1万円を失ったとき悲しみの心の揺れ、感情を感じてみてもらったやつです。このとき、1万円を失ったときの悲しみは1万円をもらった時の喜びに勝るといいましたがまさにこの通りです。

では、この「損失回避性」で代表的な事例があるのでご紹介します。これは、東京の八王子市が行った施策です。八王子市では、毎年、大腸がん検診を受けた人に対して翌年も無料で検査キットを配布していました。その理由は、大腸がんの発見には、毎年のリピート検査が必要だからです。

でも、検査キットを送っても、リピート受診しない人が大半でした。そこで八王子市がとった対策が今年、健診に行かないと「来年度の無料の大腸がん検査キットは送りません」という内容を未受診だった人へ送りました。今まで無料でもらえていたものを失うという損失回避性の心理をうまく活用した結果受信率が22.7%から29.9%までアップしました。

このように「損失回避性」をくすぐることでクライアントやユーザーを誘導することができます。また、損失回避ということはリスクを避けるということも意味します。

例えば、旅行予約サイトでホテルや旅館を検索したときに「今、◯名がこの部屋をみています。」や「あと残り◯室です」という表示が出ていますよね?ご存じですか?実はあの表示も「損失回避性」を活用した方法なんです。これはあなたを煽っていますよね。しかし、煽られている感じはしないですよね。これもテクニックですね。

この方法を使うと、部屋数が残りわずかでたくさんの人が気になって閲覧していますよ!と情報を伝えることで「無くならないうちに予約しなきゃ」という心理が働き予約につながるというわけです。

さらに対策としては、「◯室しかないですが、ほかにもこんな部屋もありますよ」と逆手にとって安心感を与える方法もできます。予約獲得にしろ、案件受注にしろ単価アップにしろこの方法はいろいろと使えますので試してみてください。

なんでも罰金制度は通用しない

人は行動をするとき、その動機を大きく2つに分けることができます。1つ目は、「内発的モチベーション」といいます。「内発的モチベーション」は達成感やモラルなどあなたの中にある動機です。2つ目は「外発的モチベーション」です。「外発的モチベーション」は、報酬や賞賛、または罰金など外から影響を与えられる動機です。

今回、注目したいのは「外発的モチベーション」です。「外発的モチベーション」を説明するときに良く使われている代表的な事例があるのでそちらをまずは紹介しますね。

あなたは、シンガポールでポイ捨てした時の罰金ってご存じですか?なんと、ポイ捨てで支払う罰金は最高額で約16万円だそうです。高いですよね?私なら絶対、ゴミは家に持ち帰りますね。しかし、シンガポールは違っていました。それは罰金があることで「お金を払えばポイ捨てしても良い」という証明になってしまっているんです。

このように罰金を設定したからといって最強でないことを覚えておきましょう。それでは、ビジネスで活用するにはどのようにすれば良いでしょうか?例えば、入会無料や期間限定キャッシュバックなど、入会すると何かお得になる施策も外発的モチベーションを活用しています。

ただ、このようなキャンペーンは報酬がなくなれば退会する人が出てきたり、幽霊会員が増えたりインセンティブだけを貰っていなくなるケースが増えてきます。それを防ぐためには、報酬以外で集まったユーザーには、報酬以外の体験価値を提供します。そしてあなたの商品やサービスの良さを知ってもらってリピーターへと繋げていきましょう。

Webはデザインと操作性が大事

今、パソコンやスマホを持っていない人は非常に少ないと思います。そのため、人はインターネットを利用して色々なことを調べられるようになりましたよね。そこで重要なのは自社のホームページを作ることです。ただ作るだけではなく、ユーザーやクライアントに、商品を買って貰ったりメルマガに登録して貰ったりしなければ意味がないですよね。

そこで、ナッジ理論を元にホームページのデザインや操作性についてお話ししましょう。さて、ナッジの「ちょっとヒジで押す」「後押しする」にはどのようにしたら良いでしょうか?ポイントは5つあります。これは少し数が多いのでノートをとってくださいね。

1つ目は、「進みやすくする」ことです。例えば、選択肢があってもデフォルトですでに項目が選ばれていたりおすすめが表示されていたりすると進みやすくなるためサイトの訪問者がストレスなく見ることができます。

2つ目は、「設定をなるべく少なくする」ことです。いろいろと操作するのって面倒ですよね?なるべく訪問者が迷わないように設定をする必要があります。結局、設定を増やせば増やすほど管理も大変になるのでシンプルが一番です。

3つ目は、「小出しにする」ことです。これはデジタルコンテンツにも言えることですが、1回の操作はなるべく簡素化してすぐに結果が得られるようにしましょう。こちらも訪問者にストレスを与えないためです。また、小出しにすることでゲーム性も高まり長くみてもらえるようになります。

ここまでで半分ですがついて来れていますか?ご自身のホームページがあるのであればここまでで一度確認してもいいかもしれません。

では、4つ目ですが、4つ目は「気持ちの切り替えポイントを作る」ことです。これは例えば、テキストだけではなくて途中に動画を挟んでみたり、オウンドメディアであれば、ページ切り替えのポイントを作ったりするのが効果的です。

そして、最後の5つ目です。5つ目は「人がいる感じを出す」ことです。例えば、TOPページのキャッチコピーを呼びかけるような言葉で構成したり、なるべく無機質な素材は使わずないなど親近感が湧くようなデザインを心がけましょう。

5つ全て理解できましたか?ホームページの制作はご自身で作る人はあまりいないと思います。ただ、業者の言いなりになっていると高い出費をした挙句、集客に繋がらないサイトが出来上がることがあります。まずは上記の5つのポイントを押さえてナッジ理論と照らし合わせコンバージョンにつながるように理解しておきましょう。

小テスト

ではここで抜き打ち小テストです。ここまでのパートをしっかり学習していれば簡単なものばかりなので、ぜひ学習の定着度合いをはかるためにも、チャレンジしてみてくださいね。

問題1

下記の4つの中で誤っているものを一つ答えなさい。

①「損失回避性」とは、「将来得たいものを得られない」ことに非常に敏感になってしまうことをさす。

②ナッジ理論の「デフォルト」とは「初期設定」のことで、初期の段階であらかじめ目立つところに設定しておいて誘導する仕掛けです。(3)

③人は行動をするとき、その動機を大きく2つに分けることができ、その1つである「内発的モチベーション」は達成感やモラルなどあなたの中にある動機である。

④「ハロー効果」とは、人やものを判断するとき目立つ特徴があればそれだけを見て全体の印象だと勘違いする傾向が出てしまうことをさす。(4)

答え「今、持っているものを失う」ことに敏感になることをさす。

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