セミナーや本業で話してきた内容は、そのままUdemy講座の材料になります。始めるときに先に決めるのは、撮影や編集ではなく「この講座を見終えた人が、何をできるようになるか」です。そこが決まれば、文字起こし・スライド・撮影・編集は人やAIに任せられます。
「セミナーの内容をオンライン講座にしたい」「台本を書く時間がない」「撮影と編集は誰かに任せたい」。経営者や先生業の方から、こうした相談をよく受けます。僕はこれまで600人以上の相談に乗ってきて、自分でも講座や本を作り、お客さんの講座づくりも手伝っています。
この記事では、一般社団法人アインの荒屋明神として、知見を講座に作り変えるときの順番、任せてよい作業と手元に残す判断、講座を本業につなげる道の作り方を説明します。機材やソフトの選び方は、ほかの記事にたくさん載っているので最小限にしています。
セミナーや本業の知見は、Udemy講座にできる?
できます。むしろ、何度も人前で話してきた内容のほうが講座に向いています。受講者がどこでつまずくか、どんな質問が出るかを、もう知っているからです。ゼロから講座の題材を考える人より、材料がずっと多い状態から始められます。
ただし、セミナーの録画をそのまま載せても、よい講座にはなりません。セミナーはその場の空気や質疑で成り立っています。録画だけを後から見ると、話が前後したり、会場の質問が聞き取れなかったりします。講座にするには、話した中身はそのままに、形だけを作り変える作業が必要です。
僕は話した内容を音声配信、文字の記事、本、講座へと広げていますが、そのとき決めているのは「形を変えるだけで、中身は変えない」ことです。この考え方はリパーパスとは?1つの話を本・講座・記事に作り変えるやり方でくわしく書きました。この記事では、作り変える先を講座に絞って説明します。
なぜ本業のある人がUdemyに講座を出すといいの?
理由は二つあります。一つ目は、知らない人から見たときの信頼です。初めてあなたを見つけた人は、話を聞く前に中身を確かめられません。買う前に見えるのは、名の知れた場所に講座が出ているという事実と、出している物の量くらいです。だから僕は、UdemyやKindleのように運営元の審査があり、一覧に並んで人目に触れる場所に作品を置くことを大事にしています。
二つ目は、話の入口になることです。講座が一つあれば、初めて会う人にも「こういう内容を教えています」と見せながら話を始められます。名刺代わりに渡せる成果物があるかないかで、最初の数分の伝わり方が変わります。
講座だけで大きく稼ぐことを目的にする必要はありません。本業の相談やサービスにつながる入口として作る。これが、本業のある人にとっていちばん無理のない使い方だと僕は考えています。
セミナーを講座に作り変えるとき、何から始める?
順番は次の五つです。いきなりカメラの前に座るのではなく、ゴールを一文で決めてから、話した中身を文字にして並べ直します。
- ゴールを一文で書き、話した内容を集める。「この講座を見終えた人は、○○ができるようになる」を一文で書く。そのうえで、セミナーの録画、音声配信、打ち合わせの録音など、すでに話した物を全部集める。
- 文字起こしをする。AIの文字起こしで十分です。話した1時間は、文字にすると1万字を超える量になります。
- 構成表を作る。受講者が学ぶ順に、講義の並びと各回の中身を決める。ここで講座の質がほぼ決まります。
- 台本にする。構成表に沿って、話し言葉の台本に整える。言い回しはあなたの普段の話し方に寄せる。
- 収録と編集をする。台本とスライドを用意して話し、編集で整える。
いちばん時間をかけてほしいのは三つ目の構成表です。撮影や編集は後からいくらでも直せますが、構成がずれた講座は撮り直しになります。逆に、構成表がしっかりしていれば、台本・収録・編集は人に任せても大きくずれません。

講座の構成表には、何を書けばいい?
構成表は、講義のタイトルを並べた目次ではありません。一本一本の講義について、受講者がそこで何を身につけるかまで書いた設計図です。僕が講座づくりで構成表に入れているのは、次の六つです。上の五つは講義1本ごとに、最後の振り返りは講座全体で1回決めます。
| 書くこと | 中身 | 書き方の例(料理教室の先生の場合) |
|---|---|---|
| できるようになること | この講義を見終えた人が、何を判断・実行できるか | 冷蔵庫の残り物から、3日分の献立を決められる |
| 前提の知識 | この講義を理解するのに必要な知識と、それをどこで説明するか | 食材の日持ちの目安は、前の回で説明済み |
| 説明と見本 | 説明・具体例・実演の中身 | 実際の冷蔵庫の中身を例に、献立を決めるところを見せる |
| 練習課題 | 受講者が自分で取り組むことと、できたかの見分け方 | 自分の冷蔵庫で3日分を書き出す。買い足しが2品以内ならできている |
| つまずきやすい所 | よくある誤解・失敗と、その直し方 | 主菜ばかり決めて、副菜が足りなくなる |
| 振り返り(講座全体で1回) | 講座の最後で、学んだことを自分で確かめる場面 | 最初に決めた目標に、今の自分がどこまで届いたか |
この表を作ると、足りない所がはっきり見えます。「説明はあるのに見本がない」「練習課題がない」「前の回で説明していない言葉を使っている」。こうした穴を、撮影の前に埋められるわけです。
僕がこの表で確かめているのは、受講者が最後に「このテーマはちゃんと学び切った」と言える状態になっているかです。見出しだけ立派で中身が薄い講座は、どれだけ映像がきれいでも、見た人に残りません。

台本は、どう書けば話しやすくなる?
台本は、読む文章ではなく、話す言葉で書きます。文字起こしをそのまま使うと、言いよどみや話の脱線が残ります。かといって、きれいな書き言葉に直しすぎると、読み上げたときに硬くなり、あなたらしさが消えます。
僕が台本を整えるときに気をつけているのは、次の三つです。
- 専門用語は、出たその場で短く説明する。言い換えるだけで済ませず、「これは何かというと」と普通の言葉で一言添えてから先へ進む。
- 誰でも知っているたとえだけを使う。聞いたことのない比喩は、かえって話を分かりにくくする。迷ったら、たとえを使わずにそのまま言う。
- 同じ言い回しで文を終えない。耳で聞くと、語尾の繰り返しは目で読む以上に気になる。
台本の案は、制作者やAIに作ってもらってかまいません。そのうえで、あなたが声に出して読み、言いにくい所や自分が普段使わない言葉を直す。この一手間で、講座の聞きやすさが大きく変わります。
講座の長さや本数は、どう決めればいい?
先に長さを決めて、そこに中身を詰めるやり方はおすすめしません。テーマを学び切るのに必要な説明・見本・練習を並べてみて、それが入る長さにする。決める順番は、中身が先で、長さが後です。
短く収めたいからといって、必要な説明を削ったり、講座の説明で「○○できるようになる」とうたった内容を小さくしたりするのは逆です。反対に、同じ話を繰り返したり、間を延ばしたりして長く見せるのもやめてください。受講者はすぐに気づきます。
なお、Udemyには講座を公開するための最低限の決まり(本数や動画の長さ、画質など)があります。決まりは変わることがあるので、作り始める前にUdemyの講師向けの最新の公式案内を確認してください。最低限を満たすことと、受講者が学び切れることは、別のものとして考えます。この記事で本数や分数の目安を書かないのは、決まりが変わりうることと、必要な量はテーマによって大きく違うからです。構成表を作れば、何本・どれくらいの長さになるかは自然に見えてきます。
台本・撮影・編集は、どこまで任せていい?
作業の大半は任せられます。文字起こし、スライド作り、撮影の段取り、動画の編集は、人に頼んでもAIを使っても進められる作業です。頼み先は、動画編集を請け負う個人の外注先、講座づくりをまとめて引き受ける制作会社、文字起こしやスライドの下書きを作るAIの機能などがあります。本業が忙しい人ほど、ここに自分の時間を使わないほうがいいと僕は考えています。
一方で、任せてはいけない判断が三つあります。「誰に向けた講座か」「見終えた人が何をできるようになるか」「中身が正しいか」です。ここを制作者に預けると、講座は整って見えるのに、あなたの考えとずれた物ができあがります。
| 分け方 | 中身 | 理由 |
|---|---|---|
| 任せられる作業 | 文字起こし/スライド作り/撮影の段取り/動画の編集/字幕やサムネイルなどの仕上げ | 手順が決まっていて、出来上がりを見れば良し悪しが分かる |
| 手元に残す判断 | 誰に向けるか/何ができるようになるか/中身が正しいか | あなたの専門と経験の中にしか答えがない |
| 一緒に決めること | 構成表/台本の言い回し | 制作者が案を出し、あなたが直す形がいちばん早い |
おすすめは、構成表と台本の最初の案を制作者に作ってもらい、あなたは直すことに時間を使う形です。白紙から書くより、案に赤を入れるほうがずっと早く進みます。この考え方は、外注・運用代行に「全部任せます」で失敗するのはなぜ?で書いたこととも同じです。

見るだけで終わらない講座にするには?
講座を買った人の多くは、内容を知ったところで止まって、実際にはやらない。僕はずっとそう感じてきました。分かったつもりになることと、自分の仕事でできるようになることの間には、大きな差があります。
だから講座には、受講者が手を動かす場面を必ず入れます。構成表の「練習課題」の欄がそれです。見本を見せたら、次は自分のケースで書き出してもらう。できたかどうかを自分で確かめられる目安も一緒に渡す。これだけで、見て終わる講座から、使える講座に変わります。
映像の作り方にも同じ考えがあります。僕は、静止した画面が長く続くことを、講座の見づらさの一番の原因だと考えています。話の区切りに合わせてスライドを切り替え、図を動かす。字幕を細かく合わせるよりも、音声がはっきり聞こえて、話に合わせて画面がテンポよく変わるほうが、ずっと見やすくなります。

講座を本業や相談につなげるには、どうすればいい?
講座を出しただけでは、受講者はあなたの本業までたどり着きません。講座の後ろに、次へ進む道を用意しておく必要があります。僕がよく使うのは、講座の最後にボーナスレクチャーを置き、そこから記事のページへ案内し、そのページの最後でLINEや相談を案内する形です。ボーナスレクチャーとは、講座の最後に置ける、受講者への特典や次の案内のための講義のことです。記事のページは、自分のホームページなどに作る1枚のページで、講座の続きにあたる話や特典の動画を載せ、その最後で次の一歩を案内します。
ここで気をつけたいのは、Udemyの中から直接LINEやメールの登録へつながないことです。僕が関わった講座の審査で実際に指摘を受けたのは、ボーナスレクチャーの名前や置き場所、ほかの欄で特典に触れていないか、といった点でした。それ以降、僕は名前を「ボーナスレクチャー」とだけ付け、講座のいちばん最後に置き、中身は記事のページへの短い案内文だけにしています。講座の説明文やほかの講義では、特典に触れません。講座の中では教える内容に集中し、案内はボーナスレクチャーから記事のページへ渡す。講義の中で名前や経歴を名乗るのは問題ありません。
案内の決まりも変わることがあるので、公開前にUdemyの最新の公式案内を確認してください。本を出したあとの道の作り方は、Kindleを出したのに売れない?本を出したあとの道の作り方でも書いています。講座と本の両方があるなら、入口は二つ、その先の道は一本にまとめます。講座の最後からも本の最後からも、同じ記事のページ、同じLINEへ案内する。こうしておけば、どちらから来た人も迷いません。

公開までは、どんな順番で日程を組めばいい?
日程は、公開したい日から逆にたどって組みます。作業そのものは、人やAIに任せれば早く進みます。時間がかかるのは、あなたが中身を確かめる場面と、直した物をもう一度見る場面です。ここを見込まずに組むと、公開の直前に確認が詰まります。
| 段階 | やること | あなたの出番 |
|---|---|---|
| 材料を集める | 録画・録音・資料を一か所にまとめる | どれを使うかを決める |
| 構成表 | 学ぶ順に講義を並べ、各回の6項目を埋める | 中身と順番を確かめて直す(ここがいちばん大事) |
| 台本 | 構成表に沿って話し言葉にする | 声に出して読み、言いにくい所を直す |
| 収録と編集 | スライドを作り、話して、整える | 仕上がりを通して見て、中身の誤りだけ指摘する |
| 最終確認と公開 | 講座の説明文・画像・ボーナスレクチャーをそろえる | 公開してよいかを決める |
全体で何週間かかるかは、講座の量と、あなたが確認に使える時間で大きく変わります。だから僕は、構成表ができた時点で残りの日程を見積もります。直しが一回は入るものとして、各段階のあいだに確認の時間を取っておきます。忙しい人ほど、構成表の確認だけは時間をまとめて取ってください。そこさえ通れば、残りは確認の量がぐっと減ります。
講座づくりで、よくある失敗は?
相談を受けていて、よく見かける失敗を三つ挙げます。どれも、撮影の前に構成表を作っていれば防げるものです。
- 録画をそのまま載せる。会場の質問や話の脱線がそのまま残り、後から見る人には分かりにくい。中身は残して、並びと言い回しを整える。
- 撮影から始める。カメラや照明を先にそろえ、何を教えるかが決まらないまま撮り始める。撮り直しがいちばん時間を食う。
- 全部を任せて中身を見ない。制作者は形を整えられても、あなたの専門の正しさまでは確かめられない。最後に中身を見るのは本人。
もう一つ付け加えるなら、講座を「一本出して終わり」にしてしまうことです。講座は入口なので、その後ろの道と、本や記事などほかの入口とあわせて考えるほうが、本業への効き方が大きくなります。自分の経験をまず本にしたい人は、自分の経験を本にしたいとき、何から始めればいい?も参考にしてください。
よくある質問
顔を出さずに講座を作れますか?
作れます。スライドと音声だけで進める講座も多くあります。顔を出すかどうかより、話がはっきり聞こえることと、画面が話に合わせて変わることのほうが、見やすさに効きます。
話すのが苦手でも、講座は作れますか?
作れます。台本があれば、読む練習で十分に整います。ただ、台本を一字一句読み上げると硬くなりやすいので、普段の話し方に近い言い回しで台本を作っておくのがコツです。
セミナーの録画が手元にありません。どうすればいいですか?
打ち合わせや相談の録音、音声配信、メモ、過去の資料でも材料になります。足りない部分は、制作者に質問してもらいながら1時間ほど話すと、講座の骨組みに十分な量が集まります。
AIだけで講座を作ってもいいですか?
文字起こしやスライドの下書き、台本の案づくりにAIを使うのはおすすめです。ただ、誰に向けて何を教えるか、中身が正しいかは、AIには決められません。最後に判断するのはあなたです。
講座の値段はどう決めればいいですか?
Udemyは割引のセールが多く、表示の値段がそのまま売れる値段になるとは限りません。値段の付け方の決まりもあるので、講師向けの最新の公式案内を確認したうえで決めてください。本業の入口として使うなら、値段よりも、見た人が次に進める道があるかを先に考えます。
講座の中で、自分のサービスを宣伝してもいいですか?
講義の中での勧誘はおすすめしません。名前や経歴を名乗るのは問題ありませんが、サービスへの案内はボーナスレクチャーから記事のページへ渡す形にまとめるほうが安全です。
講座づくりを、まとめて相談できますか?
できます。セミナーの録画や話してきた内容を見せてもらえれば、構成表づくりから、台本・収録・編集、講座の後ろの道まで、どこを任せてどこを手元に残すかを一緒に整理できます。
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セミナーや本業で話してきたことを講座にしたいけれど、何から手をつければいいか分からない。そんなときは、今ある材料を教えてください。構成表から一緒に考えます。先に自分の状況を確かめたい方には、数分でできる診断があります。
執筆・監修:荒屋明神(一般社団法人アイン 代表理事/外部戦略実行責任者)。最終更新:2026年10月22日(Udemyの決まりは記事作成時点の情報です。最新の公式案内を確認してください)
