紹介を増やしたいなら、紹介をお願いする回数を増やす前に、紹介してくれる人が「この人は何をしてくれる人か」を一言で説明できる状態を作ってください。あわせて、紹介された人が会う前に中身を確かめられる場所(発信や記事)を用意しておくと、紹介が仕事につながりやすくなります。
「お客さんの満足度は高いのに、紹介がなかなか来ない」「知り合いに紹介をお願いしているが、話が進まない」「交流会に出ても、仕事になったことがほとんどない」。小さな会社の社長や個人事業主の方から、こうした相談をよく受けます。
僕は一般社団法人アインで、知見はあるのに本や講座、発信の形にできていない方の話を聞いて、こちらで全部作る仕事をしています。仕事の相談は、発信を見てくれていた方や、知り合いからの紹介で来ることが多いです。この記事では、その経験から、紹介が生まれる手前で何を整えておけばいいかをまとめます。
紹介を増やす方法は?先に整えるのは「頼み方」より「説明のしやすさ」
検索で上位に出てくる記事の多くは、「紹介をお願いする相手とタイミングを選ぶ」「紹介した人に特典を用意する」「お願いの言い方を工夫する」という答えです。どれも役に立つ方法です。
ただ、その手前で止まっている会社がとても多いと感じています。お願いされた側が「紹介してあげたい」と思っていても、相手に何と言って紹介すればいいのかが分からない。だから、気持ちはあっても紹介が出てこないのです。
紹介は、紹介する人があなたの代わりに、短い時間で説明してくれることで成り立っています。その説明の材料をこちらが渡していないなら、頼み方を変えても増えにくいです。まずは、よくある施策と、その前に整えることを並べてみます。
| よくある施策 | その前に整えること |
|---|---|
| 紹介をお願いする | 紹介する人が言える「一言」を決める |
| 紹介した人に特典を出す | 紹介された人に「何を頼めるか」を決めておく |
| 名刺やチラシを配る | 紹介する人がそのまま渡せる資料を用意する |
| 交流会に出る | 会う前に確かめられる発信を置いておく |
右の列がそろっていると、左の列の施策がはじめて効いてきます。逆に、右の列がないまま特典だけ増やしても、紹介する人の困りごとは消えません。
紹介が増えないのはなぜ?紹介する人が困る3つの場面
紹介が出てこない理由を、紹介する人の立場から見ると、だいたい次の3つのどれかで止まっています。

- 何の人か説明できない。「すごくいい人だよ」とは言えても、何をしてくれる人なのかを一言で言えない。
- 何を頼めるか分からない。紹介先の人の悩みに、あなたのどの仕事が当てはまるのかが見えない。
- 会う前に確かめる場所がない。紹介された人が名前を調べても、仕事の中身が分かる物が出てこない。
どれも、紹介する人の努力では埋められません。こちらが材料を用意しておくしかない部分です。ここから、3つを一つずつ埋めていきます。
紹介する人が説明できる「一言」はどう作る?
紹介の一言は、「誰の」「どんな場面の」「何を代わりにやるか」の3つを組み合わせると作れます。肩書きや会社名だけでは、聞いた人が自分ごととして受け取れません。

僕の場合は、「知見はあるのにコンテンツにできていない人の話を聞いて、こっちで全部作る人」と説明しています。コンサルではなく、作るところまで引き受ける、という意味です。この一言なら、紹介する人も「本を出したいと言っていたあの人に合いそう」と思い浮かべやすくなります。
ほかの仕事でも考え方は同じです。たとえば、次のように言い換えられます(説明のための例です)。
| よくある言い方 | 紹介する人が言いやすい一言 |
|---|---|
| 税理士です | 開業したばかりで、記帳や申告を自分で抱えている人の、経理をまるごと引き受ける人 |
| 整体院をやっています | 座り仕事で肩や腰がつらい人が、仕事帰りに通える整体の人 |
| 研修講師です | 新しく管理職になった人が、部下との面談で困らないように教える人 |
| Webデザイナーです | ホームページはあるのに問い合わせが来ない会社の、入口を作り直す人 |
左の言い方は、聞いた人が「それで、誰に合うの?」と考えなければなりません。右の言い方なら、聞いた瞬間に知り合いの顔が浮かびます。紹介する人がしてくれるのは、この「顔が浮かぶ」までの手助けです。
反対に、「AIに詳しい人」「マーケティングの専門家」のような言い方は、聞いた人が何を頼めるのか分かりません。広く言うほど、誰にも刺さらなくなります。
一言を作るときに確かめること
- 紹介する人が、そのまま口に出して言える長さか(20秒で言い切れるか)
- 聞いた人が「あの人に合いそう」と、具体的な誰かを思い浮かべられるか
- 業界の言葉や英語の略語を使っていないか
- 「何でもできます」になっていないか
作った一言は、実際に何人かに言ってもらうと確かめられます。言い直しが入るところは、まだ長いか、分かりにくいところです。
紹介されても仕事にならないのはなぜ?「何を頼めるか」が決まっていない
紹介でつながったのに、話が進まずに終わることがあります。僕自身も経験があります。「いろいろ作れる人だと聞いた」と紹介されて話を聞いても、相手の中で何を頼みたいかが決まっていない。こういうときは、どれだけ作れるかではなく、何を作るかが先なので、その場では進みませんでした。
これは紹介された人が悪いのではありません。紹介の時点で、何を頼める人なのかが伝わっていなかったのが原因です。紹介する人が「いろいろできる人だよ」とだけ伝えると、紹介された人は期待だけを持って来ます。
防ぎ方は、頼める仕事を具体的に決めておくことです。「本を作る」「講座を作る」「LINEの配信を作る」のように、紹介する人が言える単位にしておきます。数は3つほどに絞ると、紹介する人が覚えていられます。たとえば税理士なら「開業1年目の記帳と申告」「確定申告だけのお手伝い」「融資を受けるときの書類づくり」のように分けます。紹介された人も、自分の悩みのどこに当たるのかを考えたうえで来てくれます。
仕事の中身を言葉にしにくい場合は?
仕事によっては、何をしているかを言葉にするのが難しいこともあります。現場で長年やってきた技術や、一人ひとりに合わせて変わる対応などです。この場合、つないでもらっても話が進まないことが多いです。紹介する人も、紹介された人も、何を期待していいか分からないからです。
こういうときは、紹介を増やすより先に、仕事の中身を言葉にする作業をおすすめします。お客さんから受けた相談とその結果を、事例として3つほど書き出すだけでも変わります。1つの事例は「どんな相談だったか」「何をしたか」「どうなったか」を各1〜2行で十分です。たとえば「開店前で、何から手をつけるか決まっていなかった店主の方と、半日かけて最初の1か月にやることを3つに絞った。翌月には予約の入口ができた」くらいの長さです(説明のための例です)。書いた事例は、紹介用の資料やホームページに載せて使います。事例があると、紹介する人は「こういう相談に乗っていた人だよ」と話せるようになります。
紹介用の資料に金額や条件まで入れないほうがいい理由
紹介する人に資料を渡しておくと、紹介はぐっと楽になります。ただし、資料の中身には注意が必要です。
以前、僕が紹介をお願いしている方から、「料金が書いてある資料だと、紹介で使いにくい」と言われたことがあります。金額や追加の作業、条件まで1枚に固定されていると、相手の状況で必要な作業が変わっても、紹介する人は資料に書かれた話しかできません。たとえば「この金額は高いかも」と紹介する人が先回りして迷い、相手に渡すのをやめてしまうこともあります。値段は、紹介された人が本人と話して、必要な作業が決まってから伝えれば十分です。
そこで、金額を外した版に作り直しました。価値を説明する資料と、条件を決める見積りは分けたほうがいい、というのがそのときの学びです。

| 紹介用の資料 | 見積り | |
|---|---|---|
| 役目 | 何をしてくれる人か、誰に向いているかを伝える | 何をどこまでやるか、いくらかを決める |
| 渡す人 | 紹介する人 | あなた本人 |
| 書くこと | 一言、頼める仕事、事例、相談の入口 | 作業の範囲、金額、期間、条件 |
| 書かないこと | 金額、細かい条件 | — |
紹介用の資料は、A4で1〜2枚ほどで足ります。紹介する人がそのまま転送できる形(PDFやリンク)にしておくと、使ってもらいやすくなります。
交流会で紹介が生まれないのはなぜ?20秒の自己紹介で反応ゼロだった僕の話
紹介を増やそうとして、異業種の交流会に出る方も多いと思います。僕も知り合いに誘われて、初めての交流会にゲストで参加したことがあります。
自己紹介の時間は一人20秒ほどで、参加者もたくさんいました。その短い時間で自分が何をしている人かを話しましたが、誰からも反応がありませんでした。同じ時間に話した、絵を描く仕事の方には「お話ししたいです」という声がいくつも届いていたのに、僕にはゼロです。
最初は話し方の問題かと思いました。でも振り返ると、知らない人の前で、実績も肩書きも伝わっていない状態から自分を売り込むという動き自体が、僕には合っていなかったのです。別の交流会でも、大勢に向けた自己紹介ではうまくいきませんでした。仕事が決まったのは、会場の外で一対一で話したときです。
うまくいく形はいつも決まっています。前もって発信を見てくれていた人から連絡が来るときか、知り合いが中身をちゃんと説明して紹介してくれたときです。どちらも、会話が始まる前に、ある程度の信用が積まれている状態です。
交流会で反応がなくても、「自分は営業が下手だ」と片付けなくて大丈夫です。自己紹介では一言だけを言い、気になった人とは後日一対一で話す約束をする。それだけで十分です。その場で売り込むことより、会う前に知ってもらう準備のほうが、紹介にはずっと効きます。交流会は、その場で仕事を取る場というより、紹介につながる相手、つまり同じお客さんを相手にしている別の仕事の人を探しに行く場だと僕は考えています。
紹介された人は、会う前に何を見ている?
紹介された人の多くは、会う前に名前や会社名を調べます。そこで何が出てくるかで、会う前の気持ちが変わります。

調べたときに、仕事の考え方が分かる記事や、本、講座、日々の発信が出てくれば、紹介された人は「この人なら相談してみよう」と思えます。何も出てこなければ、紹介した人の言葉だけが頼りになります。発信は、紹介の言葉を裏付ける役目を持っているのです。
ここで大事なのは、発信の数の多さより、仕事の中身が分かることです。どんな人の、どんな相談に乗っているのかが分かる記事が数本あれば足ります。まだ発信をしていないなら、まずはGoogleの店舗情報(Googleビジネスプロフィール)の投稿や、ホームページのお知らせ欄に、先ほどの事例を1つずつ載せるところから始めてください。
本や講座がある場合は、それが名刺の代わりにもなります。本を出したあとの道の作り方は、Kindleを出したのに売れない?名簿が残らないときに、本を出したあとの道をどう作るかにまとめています。
ホームページがある場合は、紹介された人がたどり着いたあとに、相談の入口がすぐ見つかるかも確かめてください。入口が分かりにくいと、せっかく調べてくれた人がそこで止まります。詳しくはホームページがあるのに問い合わせが来ない。原因の切り分け方と、道を一本にする直し方で書いています。
紹介してくれる人は、お客さんより「隣で商売している人」に多い
紹介というと、今のお客さんにお願いするものだと考えがちです。もちろんそれも大切ですが、僕の見てきた範囲では、紹介は別のところからも多く生まれます。
たとえば、イベントに出店する場合を考えてみてください。お客さんになるのは来場者だと思いがちですが、実際には隣で出店している人どうしのつながりから仕事が生まれることがよくあります。その人たちがお客さんになったり、別のお客さんを紹介してくれたり、次に出るといいイベントを教えてくれたりします。

イベントは、ただ出れば集客になる場ではありません。主催する人や運営する人、ほかの出店者と関係を作るための場でもあります。交流会や勉強会も同じで、同じお客さんを相手にしている、別の仕事の人が一番の紹介元になりやすいです。
お客さんは重なるけれど、仕事はぶつからない相手を探してみてください。たとえば次のような組み合わせです(説明のための例です)。
- 税理士と、社会保険労務士や行政書士
- 整体院と、美容室やパーソナルジム
- 研修講師と、人事の仕組みを作る会社
- Webデザイナーと、そのあとの集客や広告を手伝う人
紹介をお願いするとき、何を伝えればいい?
一言、頼める仕事、資料、発信がそろったら、紹介をお願いする準備ができています。お願いするときは、次の3つを短く伝えると、紹介する人が動きやすくなります。
- どんな人に合うか。「本を出したいけれど書く時間がない人がいたら」のように、場面で伝える。
- 何を渡せばいいか。紹介用の資料のリンクを添える。
- 紹介された人が次に何をすればいいか。相談フォームや予約のページなど、入口を一つだけ伝える。
入口が複数あると、紹介された人が迷います。SNSでもメールでも電話でもいい、ではなく、「ここから相談してください」と一つに決めておくほうが、話が進みます。入口を一本にする考え方は、フォロワーが増えても売れないのはなぜ?「リストは資産、フォロワーは借り物」で考える集客の順番でも書いています。
紹介でつながった人と話したら、紹介してくれた人に一言伝えておくと、次の紹介にもつながりやすくなります。仕事になったかどうかに関係なく、「お話しできました」と伝えるだけで十分です。
紹介の準備ができているか、今日確かめる4つのこと
ここまでの話を、今日すぐ確かめられる形にまとめます。4つのうち、どれが欠けているかを見てください。

- 一言で説明できるか。「誰の」「どんな場面の」「何を代わりにやるか」の3つを入れます。
- 頼めることが決まっているか。紹介する人が言える単位で、仕事を3つほどに絞ります。
- 渡せる資料があるか。金額を入れない、1〜2枚の紹介用資料を用意します。
- 会う前に見られる発信があるか。名前を調べたときに、仕事の中身が分かる物が出てくるか。
欠けているものが一つでもあれば、そこを埋めるのが先です。全部そろっているのに紹介が来ないなら、そのときはじめて、お願いする相手やタイミング、特典の出し方を見直してください。
紹介の準備を外に任せるなら、何を任せて何を手元に残す?
一言や資料、発信は、自分で作ろうとすると後回しになりがちです。本業が忙しいほど、自分のことは一番最後になります。
外に任せる場合も、「誰の役に立ちたいか」「どんな仕事を引き受けるか」という判断は、手元に残してください。ここを外に丸投げすると、自分らしくない一言や資料ができあがります。任せていいのは、その判断を聞き取って、言葉や資料、記事、本の形に作るところです。任せ方の線引きは、外注・運用代行に「全部任せます」で失敗するのはなぜ?任せていい作業と、手元に残す判断にまとめています。
助言だけを受けて、作業が自分に戻ってくる形だと、結局は手が止まります。その理由はコンサルに頼んでも実行されないのはなぜ?で書きました。僕がアインで引き受けているのは、話を聞いて判断を固めるところから、資料や記事、本、講座を作って公開し、数字を見て直すところまでです。
よくある質問
紹介してくれた人に、お礼のお金や特典は出したほうがいいですか?
出すかどうかは、仕事の内容と相手との関係で決めてください。ただ、特典だけで紹介が増えることは多くありません。まずは、紹介する人が説明しやすい状態を作るほうが先です。特典は、その準備ができたあとに考えても遅くありません。
今のお客さんに紹介をお願いするのは、いつがいいですか?
お客さんが成果を感じた直後や、「助かった」と言ってくれたときが自然です。そのときも、「どんな人に合うか」と「入口」を一緒に伝えてください。
紹介でつながった人が、思っていた相談と違ったら?
合わない相談なら、無理に引き受けないほうがいいです。代わりに、合いそうな人や場所を伝えられると、紹介してくれた人の信用も守れます。違いが続くなら、紹介の一言が広すぎないかを見直してください。
発信はどれくらいしていれば、紹介の裏付けになりますか?
本数より中身です。どんな人のどんな相談に乗っているかが分かる記事が数本あれば、紹介された人は会う前の判断ができます。毎日発信する必要はありません。
交流会には出ないほうがいいですか?
出る意味はあります。ただ、その場で仕事を取ろうとするより、紹介につながりそうな相手を見つけて、あとで一対一で話す場と考えると合いやすいです。自己紹介で反応がなくても、それだけで向いていないと決める必要はありません。
アインには、どこまで頼めますか?
合意した範囲で、話を聞いて一言や頼める仕事を決めるところから、紹介用の資料、記事、本、講座、LINEの配信を作って公開し、数字を見て直すところまで引き受けます。基本は月額33,000円(税込)です。たとえば、紹介用の資料を作り、事例の記事をホームページに載せ、相談の入口を一本にするところまで一緒に進めます。進め方の詳細は外部戦略執行責任者(社外で、判断と実行を引き受ける役)のページにまとめています。
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相談したい方へ
紹介をお願いしたいけれど、紹介する人に何を渡せばいいか分からない。一言や資料、発信を作りたいけれど、手が回らない。そんなときは、今の仕事の内容と、これまでどんな相談に乗ってきたかをそのまま聞かせてください。紹介が止まっている所を一緒に確かめ、こちらで引き受けられる所を具体的にお伝えします。先に自分の状況を確かめたい方には、今の事業のどこで止まっているかを数分で確かめられる診断もあります。
執筆・監修:荒屋明神(一般社団法人アイン 代表理事/外部戦略執行責任者)。最終更新:2026年10月30日
