
リパーパスとは、一度話した・書いた中身を、別の場所で役に立つ形に作り変えることです。同じ文章を別の場所に貼り直す「転載」とは違います。
たとえば、セミナーで話した内容を、本の1章にします。音声配信で話したことは、記事や短い動画になります。講座の一部が、無料の診断や案内文に変わることもあります。どれも中身は同じですが、読む人・見る人がそこで何をしたいかに合わせて、入口と順番を組み直しています。
この記事では、一般社団法人アインの荒屋明神です。僕が自分の発信と、支援先の制作で実際にやっている作り変え方を説明します。ゼロから書く時間がない経営者・専門家ほど、使える考え方です。
転載とリパーパスは、どこが違うのか
僕は、リパーパスをランドセルにたとえて説明しています。同じ原稿を別の場所に貼るのは転載です。リパーパスは、ランドセルを分解してキーホルダーに作り変えるようなものです。大きかった物が、別の用途の小さな物になります。形も、使い方も変わります。
| 転載 | リパーパス | |
|---|---|---|
| やること | 同じ文章を別の場所に貼る | 中身はそのまま、形と順番を作り変える |
| 基準にするもの | 元の原稿 | その場所で読む人が、次に何をしたいか |
| よく起きること | 話し言葉のままで読みにくい、長すぎる、媒体に合わない | 同じ話が、本・講座・記事・動画それぞれで役に立つ |
別の場面では、「カルピスを薄めるようなイメージ」と話すこともあります。元の濃い原液(話した中身)は1つで、飲む場面に合わせて濃さと量を変えます。原液がなければ、何を作っても薄いだけになります。

作り変えるときに、変えていいもの・変えてはいけないもの
リパーパスで迷いやすいのは、「どこまで手を入れてよいのか」です。僕が自分の制作で守っている線は、はっきりしています。形は変えてよく、中身は変えません。
| 変えていいもの | 変えてはいけないもの | |
|---|---|---|
| 言葉 | 話し言葉を読む文章に直す。言い回しを短くする | 話した人の主張、判断、理由 |
| 順番 | 読む人が知りたい順に並べ直す。答えを先に出す | 話の筋が通らなくなる入れ替え |
| 量 | 1つの話を短く切る。いくつかの話を1章にまとめる | 元の話にない数字・事例・成果を足すこと |
| 入口と出口 | 媒体ごとに、最初の一文と次に進む先を変える | 読む人を元の話と違う結論へ連れていくこと |
たとえ話も同じです。僕がランドセルやカルピスのたとえを使うのは、中身を変えずに形だけを変える感覚を、初めて聞く人にも伝えるためです。たとえを差し替えて別の話にしてしまうと、作り変えではなく作り直しです。
リパーパスは、どんな流れで進めるのか
僕の発信は、音声配信(stand.fm)を元にしています。白紙から文章を書くのがいちばん手間がかかります。話しておけば、素材ができた状態から「形を変える」作業に入れるからです。話した中身は、次のように形を変えていきます。
- 話す。音声配信で、1回1つの話をします。ここが原液になります。
- 文字にして整理する。文字起こしをし、話した論点を分けて記録しておきます。
- 媒体ごとに作り変える。同じ論点を、記事・note・YouTubeの動画、本(Kindle)の章、講座(Udemy)のレクチャーに作り変えます。
- 次の行動へつなぐ。どの媒体からも、読者特典や診断、相談へたどれるようにします。
媒体ごとに、向いている大きさが違います。
| 媒体 | 1本の大きさの目安 | 向いていること |
|---|---|---|
| 音声配信 | 1回1つの話(数分〜10分前後) | 考えを試す、話し手の人柄を知ってもらう |
| 記事・note | 1つの問いに1本 | 検索で調べている人に答える |
| 本(Kindle) | 章立てで、まとまった量 | 通して読んでもらい、考え方ごと伝える |
| 講座(Udemy) | 章ごとに、数分の動画を何本も | 順を追って、やり方を身につけてもらう |
本の章の数を、そのまま講座の動画の本数にしてはいけません。講座は1つの章の中を、理由・実例・やり方などの小さなまとまりに分けて、何本かの短い動画にします。本の7章を7本の動画にすると、1本が長く、見る人が途中で止まります。

なぜ「話す」ところから始めるのか
僕が音声配信を元にする理由は、文章が苦手な人ほど、白紙から書く手間がいちばん重くなるからです。話してしまえば、手元に素材がある状態から始められます。そこから先は、新しく考える仕事ではなく、形を変える仕事に変わります。
話す素材は、きちんとした収録でなくてもかまいません。僕は、思いついたことや人と話して気づいたことを、音声入力で文字にして溜めています。溜めた話は、あとで記事や台本の元になります。大事なのは、一度で完成品を作ろうとしないことです。
ただし、話したものをそのまま貼るだけでは、読む人に届きません。文字起こしは、話した順・話した言葉のままです。読む文章にするには、答えを先に出し、言い直しや繰り返しを整える一手間が要ります。作り変えた物の品質を決めるのは、この一手間です。
Kindle・Udemy・Brainで、作り変え方はどう違うのか
同じ話でも、載せる場所によって、読む人が期待している物が違います。主な3つの場所では、求められる見え方が次のように違います。
| 場所 | 読む人が期待していること | 作り変えるときの考え方 |
|---|---|---|
| Kindle(電子書籍) | 考え方や体験を、通して読むこと | 体系立っていなくてもよい。書き手の考え方や歩みを、自由な形でまとめられる |
| Udemy(動画講座) | 人に教えられる形にまとまった知識 | 理由・実例・やり方の順に、短い動画へ分けて組み立てる |
| Brain(有料記事) | すぐ使える成果物や道具が見えること | 手順・型・テンプレートなど、読んですぐ試せる形にする |
どこに載せるかを先に決めてから作り変えると、同じ話を無理に詰め込まずに済みます。1つの場所に合わない話は、無理に入れず、別の場所に回します。
作り変える前に、3つの問いに答える
形を変えただけで、読む人の役に立つとは限りません。僕のチームでは、作り変える前に次の3つを決めています。
- この人は、何に困って調べたのか(または、見に来たのか)
- この人は、最終的にどうなりたいのか
- そのやり方が合わなかったら、同じところへ行くために何を勧めるか
同じ話でも、検索から来た人には「問いへの答え」を先に、本を買った人には「読み終えたあとの次の一歩」を先に置きます。3つ目の問いに答えておくと、読んだ人が行き止まりになりません。
1つの話を作り変える手順
ここまでの考え方を、手順にまとめます。1つの話から、記事・本の章・講座の動画を作るときの順番です。
- 元の話を1つ選ぶ。音声配信の1回分、セミナーの1コマなど、1つの話にしぼります。
- 文字にする。文字起こしを用意し、話した論点を1つずつ見出しのように書き出します。
- 主張と理由と事例に印をつける。作り変えても動かさない部分です。ここを先に決めておくと、中身が変わる事故を防げます。
- 載せる場所を決める。記事、本、講座、有料記事のどれにするか。複数なら、どれから作るかの順番も決めます。
- 3つの問いに答える。読む人は何に困っているか、最終的にどうなりたいか、合わなかったら何を勧めるか、です。
- 形を変える。答えを先に出し、話し言葉を読む文章に整え、場所に合った長さと区切りにします。
- 次に進む道を1本置く。読み終えた人が、特典・診断・相談のどこへ進むかを決めて、つなぎます。
- 元の話と並べて見直す。主張・理由・事例が残っているか、元の話にない数字や言い切りが入っていないかを確かめます。
例:音声配信の1回分を作り変える場合
音声配信で「転載とリパーパスの違い」を話した回を元にすると、作り変え方は場所ごとに次のように変わります。
- 記事にする。「リパーパスとは何か」という問いへの答えを冒頭の1〜2文で出し、違いは表にして、残りを順に説明します。
- 本の章にする。前後の章とつながるように、なぜこの考え方にたどり着いたかという経緯を厚めに書きます。
- 講座の動画にする。理由・実例・やり方の小さなまとまりに分け、それぞれを短い動画にします。
- 有料記事にする。作り変えの手順と、見直しに使う確認の項目を、すぐ使える形にまとめます。
どれも元の話は同じで、主張も事例も変えていません。変わっているのは、最初に何を出すか、どこで区切るか、読み終えた人をどこへつなぐかです。

最後の見直しは、作った本人より、別の人やAIに頼むほうが見落としが減ります。元の話と作り変えた物を並べて渡し、「どこが変わったか」を聞くだけでも十分です。
やりがちな失敗
- 話し言葉のまま貼る。音声の文字起こしをそのまま記事にすると、読みにくくなります。中身は変えずに、読む文章に整える一手間で品質が決まります。
- 中身まで変えてしまう。整えるときに、元の話にない数字や言い切りを足すと、別の話になります。作り変えるのは形だけです。
- どこにもつながっていない。本や記事を出して終わりにすると、読んだ人の行き先がありません。どの媒体にも、次に進む道を1本ずつ置きます。
- 1つの媒体だけで判断する。1本の記事、1冊の本だけで結果を見ると、良し悪しが分かりません。同じ話をいくつかの場所に置き、どこから人が来て、どこへ進んだかで見ます。
同じ話をあちこちに置くと、1つひとつは小さくても、「この人の話をよく見る」と覚えてもらえます。名前は知っているのに、何の会社か一言では言えない。それでも名前を知られているのは、いろいろな場所で目に入っているからです。小さな会社や個人の専門家でも、同じことが起きます。

同じ話を、いくつもの場所に出すのはなぜか
リパーパスの目的は、作る手間を減らすことだけではありません。僕は、同じ話が世の中にどれだけ出ているかが、そのまま見る人の判断材料になると考えています。
講座やコンサルの中身は、買う前には見えません。見る人が頼りにできるのは、外から見える物だけです。たとえば、名の知れた場所に本や講座が並んでいることです。大きな会社が運営している場所に出ている物なら大丈夫だろう、と多くの人は自分の物差しで判断します。
だからこそ、1つの話を1か所に置いて終わりにしません。記事で知った人が本を読み、本を読んだ人が講座を見る。入口がいくつもあるほど、知ってもらえる機会が増えます。完璧な1本を待つより、作り変えた物を出し続けるほうが、見られる量を増やせるというのが僕の考えです。
続けるためのコツ:まとめて作り、小さく区切る
作り変えが止まる理由の多くは、やり方ではなく続け方にあります。手元に出せる物がない状態で「今日出さなければ」と考えると、気持ちが重くなり、出せない自分を責めて、やがてやめてしまいます。
おすすめは、気力があるときにまとめて作っておくやり方です。話す日にいくつか話を録り、作り変える日にまとめて形を変えます。出す物の在庫があれば、毎日の気分に左右されません。
もう1つは、区切りを小さくすることです。「本を1冊作る」と考えると、どこから手をつけるか分からず止まります。「今日は1つの話を文字にするだけ」「今週は記事を1本だけ」と小さく決めれば、終わったという手応えが早く来るので、次の作業に移りやすくなります。
AIに任せること・人が決めること
作り変えの作業は、AIと相性がよい仕事です。僕も、材料の整形や文章化はAIに任せています。手元に残しているのは、何を作り変えるかの判断と、全体の組み立てです。
| AIに任せること | 人が決めること | |
|---|---|---|
| 材料 | 文字起こし、論点の書き出し、要約 | どの話を作り変えるか |
| 形 | 話し言葉を読む文章に直す、長さをそろえる | どの場所に、どの順番で出すか |
| 見直し | 元の話との違いを洗い出す | その違いを残すか直すかの判断 |
| つなぎ | 案内文の下書き | 読み終えた人を、どこへつなぐか |
AIに全部を任せると、作れる量は増えても、どれを出すか・どこへつなぐかが決まらないまま物だけが増えます。判断と組み立ては人が持ち、手を動かす部分をAIに渡す。この分け方にすると、作り変えの量を増やしても中身がぶれません。

よくある質問
リパーパスと転載は、何が違いますか?
転載は、同じ文章を別の場所に貼り直すことです。リパーパスは、中身はそのままに、読む場所に合わせて形と順番を作り変えます。基準にするのが元の原稿か、その場所で読む人か、という違いです。
リパーパスすると、同じ内容の使い回しだと思われませんか?
同じ文章を貼っただけなら、そう感じる人もいます。作り変えた物は、場所ごとに入口と長さと順番が違うので、読む人にとっては別の物として役に立ちます。中身が同じであることは、むしろ話し手の考えが一貫している証拠です。
何から作り変えればよいですか?
すでに話したこと・書いたことの中から、人によく聞かれる話を1つ選ぶのがおすすめです。手元に素材がない場合は、まず話して録っておくところから始めます。白紙から書くより、ずっと始めやすくなります。
本の章をそのまま講座にしてもいいですか?
本の章の数を、そのまま講座の動画の本数にするのはおすすめしません。講座は1つの章の中を、理由・実例・やり方などの小さなまとまりに分け、何本かの短い動画にします。
AIに作り変えを任せても大丈夫ですか?
整形や下書きはAIに任せてかまいません。ただ、元の話にない数字や言い切りが入っていないかは、必ず人が元の話と並べて確かめます。どの話をどこに出すか、どこへつなぐかの判断も、人が持つ部分です。
音声配信をしていなくても、リパーパスはできますか?
できます。セミナーや勉強会で話した内容、相談の場で説明したこと、過去に書いた文章も、作り変えの元になります。思いついたことを音声入力で文字にして溜めておく方法は、僕自身も使っているやり方です。
作り変えた物は、どれから出せばいいですか?
まずは、その話を探している人がいる場所から出すのがおすすめです。検索で調べる人がいる話なら記事から、通して読んでほしい話なら本から始めます。どこから出しても、次に進む道を1本置いておけば、別の形へつながります。
作り変える時間も人手もない場合はどうすればいいですか?
話すことだけ自分でやり、残りを任せる方法があります。僕が外部戦略執行責任者として引き受けている範囲は、次の節で説明しています。
自分で作り変える時間がないときは
僕はこれまで600人以上の相談を受けてきました。知識や実績があるのに、発信や制作まで手が回らない方は少なくありません。講座で作り方を学んでも、本業の合間では手が止まります。
僕は外部戦略執行責任者(CSEO)として、任された領域について、どの話を何に作り変えるか、どの順番で出すか、どこへつなぐかを決め、人とAIを動かして制作・公開・改善まで進めます。Kindle・Udemy・Brain・note・記事・動画、HP・LP・診断・LINE・メールまでが対象です。
専門の中身を話すこと、会社全体の経営判断、最終の承認は経営者に残ります。料金は月額33,000円(税込)+新規成果報酬30%で、売上や検索順位の保証はしません。詳しい条件は外部CSEOのページに載せています。
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相談したい方へ
話した物・書いた物はあるのに、形にできていない。本や講座を出したが、その先につながっていない。そうした段階でもかまいません。いまある素材と、止まっている場所をお聞かせください。先に自分で整理したい方は、短時間でできる診断もあります。
執筆・監修:荒屋明神(一般社団法人アイン 代表理事/外部戦略執行責任者)。最終更新:2026年10月1日(料金・支援条件は外部CSEOのページの記載に基づく)
